銀製の龍の自在置物。現在知られている最小の龍の自在置物は、明珍吉久の作といわれる全長16cmほどのものだが、その半分くらいの大きさ。過去の多くの龍自在置物の作品と同様に指や爪、耳や舌も可動としている。銀製の龍の自在は知られている作品が少ないが、東京国立博物館蔵の里見重義作のものが有名である。
京都の高瀬好山工房で代々自在置物制作を手がけてきた冨木家の当代、冨木宗行氏にご覧いただく機会があり、「これまでにないものを作ったところがよい」とのお言葉を頂戴したのは望外の喜びであった。