下記書籍に、1904年のセントルイス万国博覧会に出品された下条正雄(下条桂谷)の屏風の図版が掲載されている(下条は同博覧会で金牌受賞)。
Illustrations of selected works in the various national sections of the Department of art, with complete list of awards by the International jury,
Universal expositions, St. Louis, 1904.
https://babel.hathitrust.org/cgi/pt?id=chi.73257720&seq=364&q1=and
同博覧会出品の美術品の作品図版も掲載されている下記カタログなどには、なぜか下条正雄の出品についての記載がない。また、同じくこの博覧会で金牌を受賞したことで知られる大橋翠石もみられない。
聖路易博覧会出品日本美術 / The Illustrated Catalogue of Japanese Fine art Exhibits in the art Palace at the Louisiana Purchase Exposition, St. Louis, Mo. U. S.
A.
https://www.tobunken.go.jp/archives/PDF/library-books/9000AA2217.pdf
Official catalogue of exhibitors. Universal exposition. St. Louis, U.S.A. 1904. では下条正雄、大橋翠石ともに出品が確認できる。『聖路易博覧会出品日本美術 』の「日本画之部」出品目録と比較すると、日本画ではこの二名のみが追加されていることがわかる。 https://archive.org/details/officialcatalogu00loui/page/n387/mode/2up
下条正雄、大橋翠石の出品は以下のようになっている。
Gejo, Masao, Tokio. 5. Landscape in Snow with a Fisher-man's Cottage. 6. A Pair of Screens: Heron and Willow in Snow, and Crow and Pine. 7. A Pair of Screens: Landscape, Bamboo Forest.
Ohashi, Suiseki, Tokio.
48a. Tigers. A pair of Screens.
1904年のセントルイス万国博覧会における絵画での金賞は下条正雄、今尾景年、渡辺省亭、大橋翠石の四名、その上の最高賞は橋本雅邦のみである。大橋翠石の後見人であったという金子堅太郎は日露戦争をめぐる外交工作に同博覧会を利用しており、下条正雄は博覧会行政に関わってきた政治家という面も併せ持つ。両者の同博覧会出品、金賞受賞には果たしてこのような政治的背景も影響しているのであろうか?
なお、大橋翠石出品の虎の屏風については、片隻の写真がこちらに掲載されている。
History of the Louisiana purchase exposition
https://babel.hathitrust.org/cgi/pt?id=uiug.30112078710792&seq=575
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