『第五回観古美術会出品目録 第二号』(有隣堂 明治17年) http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/849466/16
起立工商会社の社長であった松尾儀助は、第五回観古美術会(明治17年)に「明珍作鐵人物置物 二個」を出品していました(画像参照)。山田宗美の作品に布袋などの鉄打ち出しの作品がありますが、それらと類似したものだったのでしょうか。
この年の前後の観古美術会には以下に示したような作品が出品されています。明治18年の第六回観古美術会に鉄製の鷲を出品した鈴木長吉は、同年にニュルンベルク金工万国博覧会に青銅の鷲を出品して高い評価を受けていますが、同博覧会には斎藤政吉が自在置物とみられる「四支活動スル銅製鐵製ノ海蝦及ヒ鐵製蟷螂」を出品し、鈴木長吉の鷲と同じく金牌を授与されています(『金工万国博覧会報告』〈農商務省 明治20年〉)。明治15年の第三回観古美術会に「工商会社」(起立工商会社と思われる)が出品した「鐵製螳螂置物」「銅製蟹置物」は自在置物であったかは不明ですが、後年のこうした評価を考えるとその可能性は考えられるでしょう。鈴木長吉は鉄製の龍自在置物も作っていたとみられますが、起立工商会社と関係が深かったことを考えると興味深いところです。このような一連の流れは、当時の自在置物を含む明珍の作品の評価の高まりを示すものといえるかもしれません。
第三回観古美術会
・工商会社 出品
鐵製螳螂置物
銅製蟹置物
『第三回観古美術会出品目録 第三号』(有隣堂 明治15年)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/849464/32
第四回観古美術会
・松平確堂 出品
明珍作鐵屈伸龍文鎮」
『第四回観古美術会出品目録 第二号』(有隣堂 明治17年)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/849465/22
第六回観古美術会
・鈴木長吉 出品
銕製鷲置物 自作
竜池会編『第六回観古美術会出品目録 第三号』(有隣堂 明治18年)
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