先日大英図書館が100万枚以上の画像をFlickr Commonsで公開したのですが、その中で見つけたのがこの提物…!
おそらく西洋甲冑を身につけた人物は関節が動くように作られていて、鎖の代わりになっているのではないかと思います。本体は鉄製で金銀の装飾が施され顔と手は象牙で作られているそうです。人物からさらに小さな嚢物が提げられているみたいですが、もしかしたら西洋の盾の形を模しているのかもしれないですね。
西洋甲冑を題材にこんな奇抜な物が作られていたとは驚きました(しかも可動!)。こちらも西洋の兜や義手などの根付を作ってきましたが、(根付ではないにしろ)昔の物にこういう作例があることを知って勇気づけられるような思いがします(笑)
この図版が載っている1889年の "Japan and its Art"という本には他にも根付や鍔、刀装具も少し載っており、それらの図版も公開されています。
http://www.flickr.com/photos/britishlibrary/tags/sysnum001762257
その中にはこの明珍の龍の自在置物の図版もありました。
この龍は髭も自由自在に動くように作られていると思われます。このタイプの髭は鯱の作例でしか見たことがなかったのですが、龍でも作られていたのですね〜
調べてみると"Japan and its Art" の中でこの龍は16世紀の作品として紹介されていることがわかりました。制作年が知られる最古の自在置物は東京国立博物館の明珍宗察の龍で正徳3年(1713年)の年号が記されています。明珍宗察の龍は自在置物として最優品と言えるものであり、その完成度に至るまでには先行する作品があったはずですが、もしこれが本当に16世紀のものだとすると江戸時代以前にすでにここまでのものが作られていたことになるので大変興味深いです。わざわざ16世紀の作品と記すということは何か根拠があるのではないかと思うので、この龍が現存しているとしたら是非表に出てきてほしいと思います。
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