京都の清水三年坂美術館にて開催中の企画展、「鍛鉄の美 - 鐔(つば)、鐙(あぶみ)、自在置物」を見てきました。自在置物好きなのでこの展示は楽しみにしておりました。
今回は以下のような自在置物が出ていました。
*明珍の蛇、手長海老、蟹
*好山の蟹
*好山工房の宗好のカブトムシ
あと伊勢海老が2つと小ぶりの龍があり無銘、作者不詳となっていましたが、いずれも明珍の作だと思われます。
龍は大英博物館蔵の明珍清春のものによく似ています。伊勢海老も出来が良く、甲羅のテクスチャも鉄製とは思えないくらいリアルな仕上がりでした。昔は献上品として作られたものには銘を入れないこともあったようなので、これらも元はそういう目的で作られたのでしょうか。
常設されている金工の展示コーナーだとかなり見られる角度が制限されてしまうのですが、今回は上からも見られるように展示されているので細部もかなり観察できます(それでも手に持ってみたいとは思ってしまいますが)。
自在置物以外の鉄鐔、鐙もやはり良いものでした。鉄鐔は美しく本当にずっと見ていたくなります。象嵌鐙もなかなか見る機会がないもので、まとまった数が並んでいる様子はなかなか壮観でした。
そして今回メインの山田宗美(と父・宗光、弟子たち)の作品、硬い一枚の鉄板から複雑な形を打ち出す技術は恐ろしいです…
こういう香炉の脚などももちろん一枚の板から打ち出されたもので、現在ではどうやって作ったのかよくわかっていないらしいです。
宗美は石川県の明珍派の甲冑師の流れをくむそうです。自在置物の高瀬好山工房の冨木一門もルーツは石川の方らしいので、自在置物製作の技術が失われることなく後に輸出工芸品として成功したのも、甲冑師の高度な技術を受け継ぎ発展させた土地柄があってこそだったのかもしれません。
常設展の方にも高瀬好山の四分一の鯉、宗好作の蜂(鉄製と銅製の2種)とクワガタムシ(鉄製)が出ていたほか、彫刻の方では山崎南海作の象牙に着色した伊勢海老(これも自在置物、Daruma Magazineで紹介されてるこれかな?)が出ておりそちらも楽しめました!
一歩外に出ればすごい観光客なのですが、いつも通り?入館者は疎らでほとんど独り占めのような感じで非常に贅沢な時間を過ごせました(笑)
あまり色気のない写真ばかりなのもあれなので…
一応紅葉も見てきました(笑)
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